31st October - 4th November 2014, solo exhibition, Kohto Gallery Kunitachi , Kunitachi-city, Tokyo
100faces について
2012年1月製作開始、5月製版終了。当初、1日1点完成の計画で100点制作するつもりが、結果的には1.5日に1点制作で合計103点になった。とにかく“考えずに描く”を目標に、1日1点はがきサイズの顔を描き完成させることに決めた。下絵なしのグランド塗った版にいきなりのエッチング。“顔”であれば何でも良しとした。多くは自分の感情の具現化。たとえばナーバスな状態ならば、たくさんの穴を持つ顔、欝な場合には自分の口から出た指が自分を突っついている、といった具合。
friends について
2012年夏、スエーデンの版画工房で1か月滞在制作をする。“100faces”が自分の感情の具現化であったので、せっかく海外に来たので、何か“外”と関わる仕事がしたいと考え、工房に出入りする作家などにお願いしてそのポートレイトを描かせてもらうことにした。現在まで、他カナダ、オーストラリア、ベルギー、オランダなどの滞在制作で出会った友人の肖像役80名が完成している。さらに彼らの名前をフィットする漢字に置き換えてフォトエッチングで製版した。
彼らの第1印象をベースに、話してみてわかる性格や、一緒に行ったことや思い出など、さまざまなネタをモティーフにする。工房で制作していると、今度は誰の顔を描いているのか、とか、俺の顔はどうなった、とか、これはうまく特徴をとらえている、などといった、僕の制作に興味を持ってくれる効果があることに気付く。最後に1枚本人にプレゼントして完結する際は、たいていはとても喜んでくれる。そして、ああやってよかったと思う。ただ、一つの心配は、“たいていは”喜んでくれるが、中には、いやな思いをする人もいるんじゅあないか思う。なぜなら、僕の絵はあまり心地よいものではないから。だから、頼むときに必ず「変な顔でも怒らないでね」って言うことにしている。
異国で出会った友人は宝物だ。彼らを銅板に刻み付けることは、より友人を理解し、考え、感謝することにつながる、僕にとって貴重なプロジェクトである。
“100faces”と“friends”を1パネル36枚の銅版画を並置の場所を変えてひたすら刷り重ね、合計2000個ほどの顔で埋め尽くされる空間では、それぞれの顔が会話をしたり、愛し合ったり憎しみ合ったりしているようにも見え、“落書き”をしてみた。